先週の水曜日。夜の7時30分ごろ、夕食を食べようとした時に上の弟から電話がかかってきた。「パパに電話をしてもつながらないんだけど…。携帯にもかけたけれど、出ないんだよね」
えっっ!!
私たち3人きょうだいの父は今年の12月で90歳になる。独り暮らしであーる。頭は年齢のわりにしっかりしているものの、足腰がだいぶ弱ってきた。もう独り暮らしは危ないね、とみんなで話していた矢先だった。も、もしかして家で倒れてる?階段から落ちた?お風呂で溺れちゃった???
私も震える手で何度も電話をしたけれどずっと留守電。これは危険と思って、すぐ実家へ向かった。うちからはドアー・ツー・ドアーで1時間弱。
道中頭をよぎったのは、不謹慎ながら「鍵を開けるのが怖いな…。最初に119番を呼べばいいのか、それとも110番か…。この暑さ、もしかして…。あ、週明けが〆切りだ… まだほにゃくは終わってないし、どうしよう…。延ばしてもらえるかなぁ…」
勇気を振り絞って鍵を開け、「パパー!」と呼びながらあちこち探したけれど、もぬけのカラ。トイレもお風呂も、そして押し入れも開けたけれどいない。散歩から帰れなくなった?時刻は夜の8時半。ゲリラ雷雨のあとだから、増水した川に流されたのかも?もう1人の弟とも電話で話しながら、警察に連絡しようかと思った矢先…
ガチャガチャっ (鍵を開ける音)
「あれ?なんでいるの?」by 父
「へたりこむ」ってこういうことを言うんだな、と思った。ええ、ええ。あたしゃ、へたり込みましたよ、へたり込みましたとも。そして次に湧いてくる感情は、もちろん怒り。こんな時間までどこで何をしていたのか、と。
父が言うには、「いつものように、買い物をしてた」のだと。普段は夕方の5時ごろにスーパーへ買い物に行く。3時間半も何をしてたんだろう?本人は、「まだ6時だよ」と言う。違うよ、夜の8時30分だってば。2時間半もズレてるぞ。
いわゆる「見当識障害」というヤツらしい。ああ、とうとう始まったか…。とりあえず無事でよかったけれど、これから先が思いやられる…ううう…
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とりあえず、玄関の鍵を思い切って開けた私の勇気を自分で褒めたい。でも、同じことがきっとこれからもあるだろうなぁ…トホホ。