さて、昨日から始まった ジマン ご紹介キャンペーン。第二弾はコチラ。
FCバイエルンの軌跡
ナチズムと戦ったサッカーの歴史
ディートリヒ・シュルツェ=マルメリング著
中村修 訳
ドイツにおけるサッカーの黎明期については「コッホ先生と僕らの革命」で、そして戦後の混乱期から立ち上がるドイツのサッカー界については「ベルンの軌跡」で描かれている。だけど、ナチ時代のサッカー界についてはまったく知らなかった。序章の冒頭は次のような文言で始まる。一部を引用させていただくと…
『一九三三年四月九日。シュトゥットガルトにおいて、南ドイツの主要なサッカークラブが声明を発表した。それは、国民社会主義労働者党の政治体制に協力を申し出るということ ― 「とりわけスポーツクラブからのユダヤ人排除」に関するものであった。』
(以上、序章から引用しました)
1933年4月9日というと、ナチ政権発足から2か月ちょい。そんな早い時期に南ドイツのサッカークラブがナチ政権への協力を宣言していたとは… 序章と終章も合わせると、本書は全部で15章からなっているのだけど、どの章も読む前からドキドキする…「イデオロギーとプラグマティズムのせめぎ合い」とか「ハーケンクロイツのもとでのサッカー」とか「さらに先へ、そして「もう二度と」」など。ベルリンフィルにおけるナチズムについては、以前仕事で関わったことがあるのだけど、サッカー界におけるナチズムというのはまったく知らない。ドイツ人にとってのサッカーは、国民的スポーツとも言えるもの。当然、党も触手を伸ばしただろうし、いろいろあったのだろう(涙)。
そしてコチラは書評!
ノンフィクションの翻訳は裏取りが大変だと思う。原文を損なわないよう気をつけながら、膨大な情報をいかに読みやすく訳すか。ううう… 想像しただけで大変そう… 翻訳者の方のご苦労はいかばかりだったか。よーし、今年のお正月の楽しみは、この本で決まりだー♪ 内容がシリアスだから「楽しみ」と書くのは気がひけるけれど、でも楽しみ。中村さん、すばらしい訳書をありがとうございました。